プラスチックの精密切削加工を |
手がける北陸有機工業(金沢市)は、 |
金沢工業大学と連携して切削用の |
オリジナル工具を開発し、業界内で |
一歩先駆けた存在感を示している。 |
同社がメインとするのは、半導体 |
や電子部品の製造機械の関連部品。 |
中でも、スーパーエンジニアリン |
グ・プラスチックと呼ぶ耐熱性プ |
ラスチックの加工に優れており、現 |
在、売り上げの30%を占めている。 |
そして、この専門分野で強みを発 |
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揮する同社の悩みの種となってき |
たのが、プラスチックの切削用工具 |
だった。そもそも、プラスチックの |
切削加工はマーケットが小さいた |
めに専用工具がなく、同社では金属 |
加工用の工具を使い、回転数や歯の |
角度を調節するなどの工夫をして |
きた。だが、作業スピードが上がら |
ず、加工面が荒れるという問題があ |
った上、スーパーエンジニアリン |
グ・プラスチックは、汎用プラスチ |
ックに比べて加工が難しく、カンナ |
をかけるように工具を何回も往復 |
させて対処せざるを得なかった。 |
そこで、創業者の明康夫会長は4 |
年前、金沢工業大学の新谷一博教授 |
のもとを訪れ、専用工具を共同で開 |
発することを決めた。大学が持つ研 |
究シーズと実験施設を活用する一 |
方、同社のノウハウを注いで試作を |
進め、ついに完成にこぎつけた。 |
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工具の表面にはダイヤモンドを使 |
った特殊コーティングを施し、刃先 |
の角度を綿密に調整することで、つ |
いにスーパーエンジニアリング・プ |
ラスチックを一度で滑らかに削るこ |
とができるようになったのである。 |
産学連携の成果について、松本充 |
夫社長は、「開発ノウハウの不足を |
補ってくれたばかりか、実用化まで |
のスピードアップや研究開発にか |
かる負担の軽減にもつながった」と |
評価する。 |
そして、今後、ますます拍車がか |
かると予想される製造業の中国シ |
フトをにらみながらも、「高度な技 |
術力を要求される半導体や電子部 |
品の製造は日本に残るはずだ。わが |
社は、その際に必要とされるスーパ |
ーエンジニアリング・プラスチッ |
クの加工に軸足を置くことで、生き |
残りをかけたい」と決意を込める。 |
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